相続税における基礎控除以外の特例控除①
小規模宅地等の特例
相続財産に土地や家屋などが含まれる場合、その土地の評価額に応じて相続税がかかりますが、条件によっては小規模宅地等の特例を適用することで相続税の計算時、宅地の評価額を最大80%ほど減額することが可能となります。
ただし、この特例を適用するにはさまざまな要件を満たす必要がありますので注意が必要です。
相続税に適用できる控除
相続税には基礎控除以外にも特定の条件のもとで最終的な税額を抑えることに繋がるさまざまな控除や特例が設けられています。
相続税の課税対象者となった場合、適切な箇所で特例や控除を活用することで、最終的に支払う相続税額を低く抑えることができるようになるだけでなく、特例や控除等を適用したことで相続財産の合計額が基礎控除額に達しなかった場合は相続税の支払い義務自体がなくなることもあります。
遺産計算時の注意点 ②
生命保険金の非課税枠を確認する
被相続人の死亡によって支払われる生命保険金は、被相続人の財産ではないため、民法上は遺産分割の対象にはならないものの、相続税の計算時においては「みなし財産」とされ課税対象となります。
その際一定の金額までは相続税はかかりませんので、相続税の計算時は控除して計算します。
ただし、生命保険金すべてが非課税枠になるわけではないため以下をご参照ください。
生命保険金の非課税枠適用の条件
以下の条件を満たす場合、相続税の非課税枠があります。
◎保険金の受取人が相続人である
生命保険金の非課税枠の計算方法
500万円×法廷相続人の数=生命保険金の非課税限度額
遺産計算時の注意点 ①
遺産から債務や葬式費用を差し引く
通常、相続人は被相続人の葬式費用を負担するとされているため遺産から差し引くことが認められています。
通夜や告別式および葬式の前後に発生した費用で通常必要と認められる費用、戒名料、葬儀に参列した弔問客の車代、葬儀手伝いの方へのお礼などは葬式費用の対象となりますが、初七日や四十九日などの法要、香典返し、墓石の購入費用などは対象外です。
「遺産」に含む財産の種類と計算方法
相続が発生すると相続人調査と併せて財産調査も行います。
財産調査の際に抜け漏れがあるとのちに税務調査をされた場合、ペナルティとして追徴課税が課される恐れがあります。
課税対象となる財産とならない財産の確認のためにも、抜け漏れがないようにリスト化していきます。
また、相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金等の債務)も含まれるので注意が必要です。
遺産総額の計算方法
プラスの財産-マイナスの財産=遺産総額
計算の結果、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多かった場合は、相続放棄を検討する必要があります。
遺産総額の計算方法
[基礎控除額]相続税の基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
[遺産総額]相続財産-非課税財産
[課税対象となる総額]遺産総額 - 基礎控除額
法定相続人とは ⑥
法定相続人として間違えやすいケース その4
相続人に相続欠格や相続廃除された者がいる場合
相続放棄に加え、他にも法定相続人が相続権を失うケースがあります。
相続欠格または相続廃除になった人は「法定相続人」には含まれません。
※相続欠格 (相続人が相続に関する悪行をした場合)
・被相続人や自分以外の相続人を殺害、または未遂で刑に処せられた
・被相続人が殺害された事実を知りながら告発しなかった
・被相続人を騙したり脅迫したりして遺言書を書き換えさせたり撤回させた
・被相続人が遺言書を書き換え・撤回する際に、騙す、脅迫する等の妨害をした
・遺言書の偽造や書き換え・破棄・隠蔽をした
※相続廃除 (被相続人が以下のような理由で家庭裁判所に相続人から外すよう申し立てをして認められた場合)
・激しい暴力やモラハラがあった
・家族に莫大な借金を肩代わりさせた
・犯罪をおかして家族に迷惑をかけた
・配偶者がいるのに、浮気を長期間または繰り返し行っていた
・家族の預金を勝手に引き出して使っていた
法定相続人とは ⑤
法定相続人として間違えやすいケース その3
相続人に相続放棄した者がいる場合
法定相続人が相続したくなければ「相続放棄」を行うことができます。
この場合、全財産を相続する権利を放棄したことになりますが、基礎控除の計算の際は、相続放棄をした者も法定相続人の数に含めて計算します。
法定相続人とは ④
法定相続人として間違えやすいケース その2
養子がいる場合
法定相続人は「配偶者+実子+養子」となります。
- 普通養子縁組で養子に出した子
- 配偶者の連れ子で、被相続人と養子縁組をした子
- 特別養子縁組で被相続人の養子にした子
被相続人に養子がいた場合は基礎控除を計算するにあたり含むことのできる養子の人数には上限があるため注意する必要があります。
- 被相続人に実子がいる:1人まで養子として含む
- 被相続人に実子がいない:2人まで養子として含む
なお、以下については法定相続人には含まれません。
- 特別養子縁組で養子に出した子ども
- 再婚相手の連れ子など同居していても養子縁組をしていない子ども
法定相続人とは ③
法定相続人として間違えやすいケース その1
被相続人の子どもが被相続人より先に亡くなっているが、孫が存命(代襲相続)
被相続人よりも先に最優先順位である子どもが亡くなっている場合、その子に子ども(被相続人の孫)がいれば孫に相続権が移り、孫が法定相続人となります。
このことを「代襲相続」といい、代襲相続の場合の法定相続人は「被相続人の配偶者と孫」となります。
第3位の兄弟姉妹にも代襲相続はありますが、代襲するのは甥・姪までです。